浦東新区三林地区の団地。 手前の運河には白鷺も飛び交う自然豊かな住宅地

『バブル』と言えばやはり『住宅』。

お待ちかねの住宅編の話に参りましょう。

2000年頃、上海の超一等地の100平米のマンション価格は1,800万円程度でした。

2009年の浦東郊外の100平米のマンションがやはり1,800万円でした。

上海の不動産価格の変化は2010年

浦東新区三林地区の団地。
手前の運河には白鷺も飛び交う自然豊かな住宅地

 

つまり2000年から2009年の10年間でマンション価格は上昇はしましたが、せいぜい2~3倍です。

 

2001年12月のWTO加盟後のいけいけ経済発展期の中ではごくごく自然な上昇であったと言えます。

2008年10月にリーマンショック(中国では金融危機と言います)が起きた時点では、上海の不動産価格もかなり落ち込みました。

 

しかし状況ががらりと変わり始めたのが2010年からです。
中国政府は2008年11月にはリーマンショックからのV字回復を目指し内需投資に4兆元(現在の為替レートで換算すると68兆円)の景気刺激策を実施すると発表。

 

 

その景気刺激策の資金が2009年中盤頃から徐々に効き始めてきます。
効き始めるというよりも、うごめき出したという方が正しいのかもしれません。
上海は2010年には上海万博開催を控えていますのでそれでなくても上海改造計画が進行中です。
そこにさらなる投資上積み指示が来たのですから、政府やお役所のお偉いさん達はさぞやほくそ笑んだことだと思います。

 

 

『これで不動産は一気に上がる!今買えば必ず儲かる!』と絶対に思ったはずです。
とにかく中国人のお金に関する嗅覚(きゅうかく)はすごいものがあります。
元々都市開発計画は彼らお役人の手元にあります。

 

 

どの地域に具体的にどのくらいのお金が投資され、その効果がどのように出て来るのかも分かっているのですから、まず彼らお役人とその近辺にいる人たちが不動産を『買い漁り』ます。

 

 

(中国では不動産売買と言っても70年の使用権の売買です。『70年後にどうなるかという超難しい問題は皆さんこの世の中にいらっしゃらないので議論しない、次世代の頭のいい役人が考えるはずだ』という暗黙の了解ということで中国人の間では議論にはなりません)

 

 

次にその秘密や噂を聞いた人達がブームに遅れまいと我先にと続いて『買い漁り』ます。
『買い漁る』という行動が読者の皆さんが具体的にお分かりにならないと思いますのでもう少し具体的に説明します。

架空物件の売買

本来なら新規完成物件というのはその数年ぐらい前から建設認可も含めて動き出していないと当然発売のタイミングに間に合いません。

 

 

でも中国が本格的に経済活動が動き始めたのは2010年からです。
2008年後半から2009年前半は中国もかなり経済状況は悪化していました。
ですから2010年の時点では新規販売マンション物件の数はそんなに多いはずはありません。

 

 

では金儲けののために買いたくてうずうずしている人達は何を買うのでしょう?
まだ荒地、建設許可を得たばかりの建設予定マンションの部屋の権利や新規物件の開発権利を買い始めます。
そうです!

 

 

目の前に何も存在しないもの、言いようによっては『架空物件の売です。

 

2010年には架空物件すら売買の対象に!

こうなると詐欺師はうれしくてたまりませんよね。
ちょっとした開発許可書類を偽造するだけで数百億円のお金が転がり込んでくるわけですから、詐欺行為が蔓延(まんえん)するのは当たり前です。

 

 

詐欺行為が横行するようになれば開発会社だけでなく一般庶民も騙されて大金を失ってしまいます。中国共産党は一般庶民のクレームには非常に敏感なので、すぐさま目の前に物件が存在しないものの不動産売買は政府により禁止となります。

 

 

でも皆さん、不動産が買いたくて買いたくてたまらないのに新しい物件が無かったとしたら何を買いますか?
次の買い漁りのターゲットは現存する物件=中古物件に移っていくだけの話です。

 

架空物件の次は中古物件が投資の対象に!

それも現物が目の前にあるという安心感だけで新規物件よりも価格が高くなります。
築20年のマンションが新規物件よりも高く売買されるのですから正に『買い漁り』状態です。

 

 

最初は各大都市の中心部から始まり、時間が経つうちに『買い漁り現象』はすぐに郊外へとドーナッツ状に広がって行きます。

 

 

さらに買えば買うほどマンション価格が上がって行くのですから、誰もが1部屋から2部屋、2部屋から3部屋と投資対象を増やして行くのはごくごく当たり前のことです。

 

 

おっかなびっくりで始めたブームに乗りたい一般庶民だってこんな状況であれば1部屋だけでは満足できず、銀行から借りてでも投資するというスタンスに変わって行きます。

買い漁りのピークは2016年

この『買い漁り』のピーク2016年でした。
その2016年には2009年時点で1,800万円だった私が住んでいたマンションが1億円を超えました。

 

 

わずか7年で5倍以上の値上がりです。
これを狂乱バブルと呼ばずに何と呼ぶのでしょう!

 

 

友人から聞いたこんな話も実話だと思います。
2000年に上海中心部の一等地の小さな部屋を売ってオーストラリアに商売に出掛けた上海人が15年後に上海に戻って来ました。

 

 

彼はオーストラリアでのビジネスに成功し、大金持ちのつもりで上海に戻ってきたらビックリ!
自分が以前住んでいた場所でマンションを購入するには5億円必要になっていたとのこと。

 

 

彼曰く『こんなことならずっと上海に住んでいればもっといい生活が出来ていたってことじゃないか!俺のこの15年の苦労は一体何だったんだ!』

 

 

1990年代に日本に渡って来た上海人もみんな同じように感じているみたいですよ。

ところで日本人の皆さんは実は私もこんな狂乱バブルに参加していたからこんなに数字に詳しいのだろうとお疑いになると思います。

 

 

中国は全く違うんです!
毎日不動産仲介会社のネクタイを付けた若手社員達が団地の出入口でちらしを持って配っていますので興味がなくても見てしまうんです。

 

 

不動産仲介会社は仲介数が多いとかなり儲かるんですよね。
2015年以降かなりの小さなお店が不動産仲介会社の店舗に変わって行きました。

コンビニより多い不動産仲介会社のお店

はみだしと~く【ブームを追う中国人の習性】

中国では大都市の中古マンションって値段がなかなか下がらないんです。
築10年であろうと、築30年であろうと基本はその立地場所で値段が決まってきます。

 

 

つまり市の中心部にある築30年の50平米のマンションは、郊外にある新築の100平米のマンションよりも高くなります。

 

『需要・ニーズ』、つまり買いたい人があまりにも多いので値段の下がりようがないんですね。
同じ地下鉄の駅からの距離数で比べてもこんなことがずっと起きています。

 

 

恐らく日本ではこのような現象は起こらないのではないかと思いますが、面積が全く同じという前提だとすれば、駅まで徒歩3分の築20年のマンションは駅まで徒歩15分の新築マンションよりも高いという現象がずっと続いています。

 

 

それと大都市中心部の有名公立小・中学校の学区内のマンション(学区房=XueQuFang)は、地下鉄の駅との距離は関係なく築年数も全く関係なく高くなります。

不動産仲介会社の社員が街中で配っているビラ。因みに『学区房』と書いてある部屋は2億5千万円以上ですね

 

 

ただ有名公立学校への通学に関するニーズは子供が学校に行っている期間だけですから、そこにマンションを持っている人は自分は別な場所に住んで部屋だけは賃貸に出します。

 

 

こういう契約を持っていれば高い家賃がずっと入り続けることになります。
とにかくこと不動産に関する損得勘定のすごさには目を見張るものがあります。

 

 

それともう一つここで新たな神話が出来ました。
『共産党のやりたいことを追っかけて行けば必ず儲かる』という神話です。

 

 

きっかけは当然不動産投資です。

次は『一帯一路』プロジェクトへの投資。
次は海外の会社の買収。
そして海外サッカーチームの買収(習近平さんがサッカーが好きだということから始まりました)。

 

 

今は電気自動車産業への投資ブーム。
もうブームを追うのが中国人の習性になっていますね。

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