2018年に開店したばかりのカルフールとホテル(浦東新区・楊高南路)

2018年に開店したばかりのカルフールとホテル(浦東新区・楊高南路)

 

こんにちは!

 

前回の記事から住宅編に入りました。

まだ読んでいない方はこちら↓

今回はマンションとショッピングセンター開発の裏にあった『地上げ』のお話をしていきます。

 

マンションとショッピングセンター開発の裏にあった『地上げ』

マンション購入が大ブームになってくれば、次のブームはマンション生活とは切っても切れない関係のスーパーマーケットや総合ショッピングセンターの開発です。

 

 

確かに綺麗なマンションを買って引っ越しをしたのはいいですが、生活の基本である日常品の買い物が不便であればそのマンションの人気もすぐにはげ落ちます。

 

 

中国人的発想から見れば、都市の中心部の狭い部屋を売って大金を手にする人が増えれば、その人たちに如何にお金を使わせるかを考えなければならないということになるんだと思います。

 

 

このブームを牽引したのはWANDA(大連万達)やその他もろもろの不動産開発会社です。
最初はマンション建設にしのぎを削っていた不動産開発会社も、ある時ショッピングセンターを併設しないとマンション価値が下がりかねない、いやそれを逆手に取ってションピングセンターの店舗賃貸で儲けようということを考えたわけです。

 

 

とにかくショッピングセンター賃貸業で儲けるには、より規模の大きなマンション開発をしなければなりません。

でも上海中心部や距離的に近い郊外地区での有望な土地はどんどん少なくなります。
では次にこの開発会社の皆さんは何を仕掛けたでしょう?

 

 

答えは『古い家に住んでいる人たちや古い商業地になっていた場所の人達に、そこの土地の権利を売って欲しい』と仕掛けて行きます。

 

 

日本語で言えばバブルの頃に流行った『地上げ』です。
当然売り手有利の商談となりますよね。

 

 

買い手も分かっていますから、売り手はこういう手を使います。
もはや『郊外』とも言えない市街地から30キロ以上も離れた田舎に農地を持っている農民から田畑を売ってもらい、その土地に巨大なマンション群を建設します。

 

住民の集団移転先の団地を中国語で動迁房=DongQianFangといいます

昔はこのような移転先の団地を中国語で【動迁房】=DongQianFangといういい、5階建てのあまり色気のない建物でしたが、今の移転先のマンションは【商品房】=ShangPingFang、つまり商品としてのマンション価値が十分にあるものに変わっています。

動迁房=DongQianFang(開発地区に住んでいた人達に与えられる住居)も色を塗り替えれば立派に販売可能なマンションへ

 

 

 

 

 

 

 

そしてお目当ての市街地や郊外に住む住民にこうささやくのです。

中国人【不動産会社】
『今の場所を売ってくれれば、少し田舎にはなりますが、3年も経てば地下鉄も開通する十分通勤圏内に場所の部屋を、それもご家族の人数分差し上げます。さらにマイカー購入費や新しい家具の購入費として1,000万円差し上げます。さらに5年も経てば一部屋5,000万円で売れますよ!どうですか、悪い話じゃないでしょ?』

 

 

仮に家族3人で生活していたのであれば、3新しい部屋がプレゼントされる上にマイカー代や新しい家具の購入費用まで出してくれるのであればほぼ皆さん話に乗って来ます。

仮に自分のお父さんやお母さんが同居していたらなんと5部屋です!
上海では、部屋の権利書入手日から5年以内に部屋を売却すると10%の税金が課されますが、売り手市場が続いている限り、この10%の税金分の金額は買い手がマンション代に上乗せという形で負担してくれます。

こちらは多くの日本企業がオフィスを構える古北地区に残る動迁房=DongQianFang。場所が良いので40平米程度でも3,000万円はします。

 

 

 

 

 

 

 

場所さえ良ければ築年数は関係ない!

こんなおいしい話を逃したら一生後悔するはめになります。
ゴネたにしてもまずは商談成立となります。

 

 

この方法で開発業者は最後に残っていた中心部や郊外にかけての有望な土地をガンガン押さえて行きました。
田舎で農地を売った人も大金持ち、市街地や郊外地域で一軒家や小さな店舗を売った人も大金持ち。
こんなおいしい取引が数年続きました。

 

 

恐らくこの地上げ取引で大金持ちになった人は上海だけでも百万人は下らないと思います。
開発業者は、その手に入れた土地にマンションやショッピングセンターを建設して販売すれば、数百億円から数千億円のお金が入って来ますから損をするはずがありません。

 

 

でも中国という国はやり過ぎると必ず政府からストップが掛かります。
あまりにもこのような地上げ的行為が増えて行ったので2018年初頭には土地とマンションの交換は等価交換しか許されなくなりました。

はみだしと~く

上海で『地上げ』がものすごい勢いで進められていた2014~2015年。
『上海の田舎』と呼ばれた地域での『地上げ』状況をご説明しましょう。

 

 

まず以下の地図で『2014~2015年の上海の田舎』地域を簡単に特定しますが、『田舎』表現は2018年現在正しくないので、今後は『新都市化区域』と呼ぶことにします。

 

 

『緑の円』で囲まれた地域は2013年までにすでに都市化されていた地域。
『緑の円』以外の『赤い円』で囲まれた地域と『黄色の円』で囲まれた地域で特に『地上げ』が急速に進みました。

赤い円の場所が上海ディズニーランドのある浦東新区川沙鎮

 

『新都市化区域』ですから従来は元々の小規模な町や工場、倉庫そして農地や農民さんのお宅や森だけがあった場所でした。

 

 

『赤い円』で囲まれた地区は『上海ディズニーランド』の建設が進められた特別な事情があった地域であることと私が実際に仕事をしていた地域で事情は特に把握しているのでご説明させて頂きます。

 

 

この『赤い円』で囲まれた地区は『浦東新区川沙鎮』といいます。

『上海ディズニーランド』は2009年11月、上海浦東新区川沙鎮という浦東空港(開港1999年)から車で15分くらいの地域に建設が決まりました。

浦東新区川沙地区に建設された上海ディズニーランド

 

2005年頃までは夜の浦東空港から市街地まで到着するまでは怖いくらいに真っ暗な地域でした。
ともかく『上海ディズニーランド』開園は2016年6月ですから、2009年11月からの7年弱の時間にこの川沙鎮は恐ろしいくらいに状況が変わりました。

 

 

今は浦東新区という新しい『区』になっていますが、1992年以前の浦東地区のかなりの部分は川沙鎮だったんです。ほとんどが農地、川沙地区はその農村行政地区の中心地だっただけでした。

以前は小さな水路、森、民家、畑が広がっていた川沙地区。原風景は今や大分少なくなりました

 

上海に7,300万人が訪れた2010年の上海万博開催時点ですら川沙鎮は見渡す限りの農地と農民の家、そして森があり、ところどころに工場や倉庫があるだけの場所でした。

 

 

2018年現在ご覧になれる上海ディズニーランドは三期に分けられた第一期分だけです。

川沙地区をガラリと変えた上海ディズニーランド

 

ただ住民移転に関しては三期分全ての工期分面積(7百万平米。因みに東京ディズニーランドは51万平米、ディズニーシーが49万平米、併せて1百万平米)を一気に住民移転対象にしていますので、いくら2010年当時農地が多かったとはいえかなり多くの人が移転させられたことは想像して頂けると思います。

 

 

上海市は相当数の農民の心情を考え、彼らの新居であるマンションは川沙鎮の商店街からさほど遠くない場所に建設しました。

川沙地区再開発用に建設された動迁房=DongQianFang。ただ突貫工事で建てられたので問題も起きているようです。

 

 

この移転マンションの大きさだけでもかなりのものでしたが、商魂たくましい不動産開発会社から見るとこの『上海ディズニープロジェクト』はとても魅力的で大金を産むプロジェクトに見えたはずだと思います。

 

 

不動産開発会社は川沙鎮を一気に郊外型ベッドタウンに変えて行きます。
従来片道一車線であった川沙路という町を縦断する道路も2018年から片道二車線道路が片道4車線道路に変わりました(川沙地区中心部はまだ片道2車線)。

 

これらの新しいベッドタウン建設の裏で恐ろしい『地上げ』が進められていました。
その結果として、工場や倉庫の社員が会社にベンツやBMWで出社する光景が頻繁に見られるようになって来たわけです。

 

 

彼らは祖先の代から保有していた農地や一軒家を不動産開発業者に地上げしてもらい瞬く間に資産家になってしまったんです。

川沙地区再開発の為建設された動迁房=DongQianFang。恐ろしいくらいの戸数に及びます

 

 

昨日まで電動バイクで出社していた地元のおじちゃんやお兄ちゃんが、地上げを境にいきなりベンツやBMWを購入してご出勤ですから、うらやましいを通り越して空いた口がふさがらないという感じでした。

 

 

『家に居ても暇だし、毎日ぶらぶらしていると悪い仲間と付き合い出すだけなので仕事は続けます』

でもこういった良い心掛けの人は、工場や倉庫内のものを盗むといった悪いことは絶対にしない、という面もありましたので安心は安心でしたが、ベンツで通ってくる社員に『ボス』と言われるのは『やはり中国はまともな状況とは言えなくなったな』とは思いましたね。

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